心法

自分の行き先

決める・演じる・気づく

行き先は、自分で決めてみましょう。

行き先は、自分で決める

身体を整えて、その先どこへ行くのか。ここを扱うのが心法です。

痛みが取れて、身体が動くようになって、長生きできたとして。その人が自分の人生を生きていなかったら、それは健康と言えるでしょうか。

健康は目的ではありません。生きるため、楽しむための手段です。だから、整えた後にどこへ行くのかが要ります。

そしてその行き先は、こちらでは決められません。どこへ行きたいかは、あなたの中にしかないからです。誰かに決めてもらった行き先では、そもそも動けません。

決めると、見えるものが変わる

赤い車を買おうと思った日から、街に赤い車ばかり走っているように感じたことはありませんか。

赤い車が増えたわけではありません。前からそこにいました。拾う基準が変わっただけです。

人は、目に入るものを全部は見ていません。見えているのに、見ていない。そうしないと処理しきれないからです。何を拾うかは、そのときの自分が何を気にしているかで決まります。

だから、まず決めます。決めた瞬間から、拾うものが変わります。それまで通り過ぎていたものが、目に留まるようになります。

今日から試せます

ひとつ決めてください。何でも構いません。今日は左利きの人を探す、でもいい。青い傘でも、犬を連れている人でもいい。

そのまま一日過ごして、夕方に振り返ってみてください。いつもより見つかっているはずです。

街は変わっていません。変わったのは、あなたが何を拾うかだけです。決めれば、拾える。拾えば、気づく。心法でやるのは、これと同じことを、人生の行き先に対してやることです。

目標は演じられない

では、行き先を決めればいいのか。ここにひとつ、やり方があります。

目標を達成している自分を、今の自分が演じるのです。

目標そのものは演じられません。「年収を上げる」も「あの場所へ行く」も、状態ではなく地点だからです。演じられるのは、それを達成している自分がどう振る舞っているかのほうです。

その人なら、どんな話し方をするか。どんな判断をするか。朝、何時に起きるか。何を断り、何を引き受けるか。それを、今日からやります。

演じ始めると、その自分が拾うものを拾い始めます。それまで見えていなかった道筋に、気づくようになります。赤い車と同じことが、もっと大きな規模で起きます。

ズレは、消えません

やってみると、今の自分との差がはっきりします。届いていない、追いついていない、格好がついていない。落ち着かない感じが出ます。

その落ち着かなさは、消す必要がありません。むしろ、それが動く力になります。

努力や気合いで自分を動かすのではなく、ズレているから戻ろうとする。同じ動くでも、出どころが違います。

人生、楽しんでる?

ここで、ひとつだけ問いがあります。

ただし、いきなり聞いても意味がありません。先に一息ついてください。緊張したまま出てくる答えは、たいてい建前になります。一息ついた後に出てくる答えは、頭ではなく身体を通っています。

そのうえで、自分に聞いてみてください。

人生、楽しんでる?

楽しめている場合

目標に向かっている途中が楽しくても、達成した状態が楽しくても、どちらでも構いません。日々そのものが楽しい、という形でも成立します。

その場合は、次の行き先を見つける方向へ進みます。人は常に道半ばです。ひとつ達成すれば、次が生まれます。

楽しめていない場合

ふたつのどちらかです。

どちらであるかを決めるのは、こちらではありません。あなたの中にあります。

もし行き先のほうがズレていたなら、変えて構いません。一度決めたものを守り通す必要はありません。

楽しいだけでは、見分けられません

ひとつ、線があります。

やめようと思えば、やめられるかどうか。

今日はここまでにしておこう、と決められる。そういうものは、この体系でいう遊びです。

やめたいのにやめられない。やめると落ち着かない。それがないと日常が回らない。そういうものは、楽しくても遊びではありません。

お酒やギャンブルが分かりやすい例ですが、仕事や趣味でも同じことが起こります。楽しいかどうかでは、この二つは見分けられません。どちらも本人は楽しいからです。見分けるのは、降りられるかどうかだけです。

始める前に

はじめに

これは医療行為ではありません。

治療の代わりになるものではなく、診断を行うものでもありません。現在なんらかの症状で治療を受けている方は、主治医の指示を優先してください。

また、感じ方や変化には個人差があります。同じように行っても、同じことが起きるとは限りません。

呼吸が先です

自分の行き先を考えていると、気持ちが動きます。焦り、不安、逃げ出したくなる感じ。目を逸らしたくなることも出てきます。

そうなったときに戻ってくる手段を、先に持っておいてください。考えるのはその後です。

順番が逆になると、焦りや不安に飲まれたまま行き先を決めることになります。そこで出てくる答えは、たいてい本心ではありません。

基本の呼吸を読む

強い反応が出たとき

行き先を考えていると、過去のことが出てくることがあります。あきらめた記憶、言われた言葉、うまくいかなかったこと。珍しいことではありません。何かがおかしくなったわけでも、やり方を間違えたわけでもありません。

そうなったら、無理に続けず、そこで一息、入れてください。鼻から吸って、口から「フーッ」と吐く。強くやらず、長く、穏やかに。落ち着くまで、そこで待ちます。収まりきらないまま次の用事に移ると、それを引きずったまま一日を過ごすことになります。

出てきたものを、その場で整理しようとしなくて大丈夫です。ここでやることは、落ち着くところまでです。その先は、また別の話になります。

同じことが何度も出てくることもあります。そのときは、ひとりで続けて片づけようとしないでください。

この先について

ここまでで、やることはお伝えしました。行き先を決める。それを達成している自分として振る舞う。見えてくるものに気づく。ときどき、一息ついて自分に聞く。

ただ、ひとりでやるには難しいところがあります。自分が何を拾っていないかは、自分では見えません。見えていないことには、気づきようがないからです。

対面では、こちらから問いを投げます。何度も、角度を変えて投げます。答えに詰まったところ、話が逸れたところ、感情が動いたところ——そこに何かがあります。そこを見ています。

ただ、答えはこちらからは出しません。行き先はあなたの中にあるので、こちらが持ち出せるものではないからです。外から渡した行き先では、拾うものが変わりません。

そして、この体系には終わりがありません。ひとつ達成すれば、次が生まれます。行き先は、生きている限り更新され続けます。

個人セッションはこちら